大腿骨頸部骨折治療後に自宅退院した高齢者を対象に退院後2か月間について受傷前歩行能力と比較した2か月後回復度,そのときの自立度,2か月間のサービス利用状況,それらに応じた必要なケアを検討した.東北隣接2県2病院で骨折治療を受け自宅退院した65歳以上の高齢者52人のうち受傷前独歩者は27人であったが,退院2か月後の独歩者2人であった.受傷前独歩者の在宅サービス利用は5人であった.受傷前よりつたい歩きであった7人は退院後2か月の日常生活全般に要介助の準寝たきりの状態であったが,リハビリテーションがあまり期待できないデイサービスを主に利用していた.退院後の自立支援は,もっとも効果的である退院後2か月間に,受傷前独歩者は歩行能力再獲得,受傷前つたい歩きであった者は寝たきり化防止を目標として,入院時より退院計画を立案し積極的な介入が必要であることが示唆された.