2008 年 11 巻 2 号 p. 65-74
統合失調症の利用者への訪問看護を行っている看護師に対する教育プログラムを開発し,その効果を検討することを目的に研究を行った.教育プログラムは,統合失調症をもつ利用者への効果的な訪問看護の概念に基づき作成し,4人の看護師に教育プログラムを実施した.教育プログラムは,看護師へのインタビューから①看護師の学習していく過程,②利用者の精神障害者社会生活評価尺度(LASMI)により評価した.収集したデータは,質的にまたは量的に分析された.看護師の学習していく過程は,統合失調症をもつ利用者に対する基本的な態度を,講義のみならず講義後の現場における看護実践を通して体得したことを示していた.LASMIの結果は,担当利用者のすべてに,対人関係能力の向上を認めていた.教育プログラムは効果を認めたが,今後の改善のために,講義と看護実践との統合を図る必要性が示された.