日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
原著
訪問看護ステーション管理者の離職意向に関連する要因:1県内の訪問看護ステーション調査より
武田 彩子岡本 有子葛西 好美杉原 幸子内田 明子馬場 陽子山本 則子
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 13 巻 1 号 p. 38-45

詳細
抄録

本研究では,訪問看護ステーション管理者の離職意向の要因を検討した.A 県の全訪問看護ステーション191 件に郵送質問紙を送付し,返送された96 件(回収率50.3%)を分析した.7 割以上が離職を考えたことがあると回答した.設置主体が営利法人の場合,管理者の年収が400 万円未満または600 万円以上の場合に離職意向をもつ割合が低かった.「管理者・スタッフの勤務時間」と「予算の大枠づくり」の裁量権が管理者にない場合,給与体系の開示・明確化がなされていない場合に離職意向が高かった.管理者の困難は「訪問看護提供上の負担」「管理上の負担」「運営・経営に関与できない」「運営・経営の責任が負担」の4 因子に分類され,「運営・経営の責任が負担」以外の3 因子が離職意向に関連した.離職意向に関連する困難の項目は母体法人との関係に関するものが多く,母体法人との裁量権をめぐる関係が離職意向に強く影響することが示唆された.

著者関連情報
© 2009 一般社団法人日本在宅ケア学会
前の記事 次の記事
feedback
Top