日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
研究
精神障害者の生活を支援するホームヘルパーの思いの構造
林 裕栄
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2009 年 13 巻 1 号 p. 46-53

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抄録

本研究の目的は,ホームヘルパーの精神障害者への支援に対する思いの構造を質的,記述的に明らかにすることである.研究方法は,M-GTA(修正版グラウンデッドセオリーアプローチ)を用いた.研究参加者は常勤ヘルパー10 人であった.各ヘルパーに個別面接インタビューを行い,それを基に分析した.結果,ヘルパーは≪病気が分からない≫という思いを抱いていた.支援の際には,いままでの介護保険でのケア経験を通して<高齢者ケアとの比較>をしながら,どのように今後支援を継続していくべきか考えていた.支援は,しだいに2 つの方向に分かれた.すなわち,【納得しながらの支援】と【不全感がありながらの支援】であり,これら2 つがコアカテゴリーに位置づけられた.今後の課題として,①ヘルパーの力量形成のための教育・研修の必要性,②第三者によるスーパービジョンの必要性,③ヘルパーを支えるサポートシステムの構築,④同僚同士の支え合いの強化,⑤ヘルパーと利用者の良好な関係の構築およびヘルパーと利用者双方の合意を基にした支援の実施,が挙げられた.

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© 2009 一般社団法人日本在宅ケア学会
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