2009 年 13 巻 1 号 p. 63-70
豪雪地域で生活する在宅療養者とその家族の療養生活の特徴を明らかにすることを目的とし,9 事例の訪問看護場面の参加観察と面接調査を行い質的に分析した.結果,積雪や豪雪地域に特徴的な高床式の住居は大きな困難としては認識されていなかったが,外出や療養者の健康管理が困難となる冬季において《移動・外出を支援するサービスの充実》《「来てくれる」専門家の配備》へのニードが高まっていた.また,療養者と家族のセルフケア向上のためには,誤嚥性肺炎を予防するための《口腔ケアの必要性と方法の指導》や《家庭での良肢位とリハビリテーション指導》が課題であった.そのほか,《療養者の視点に立ったサービスの柔軟性》を検討することや,介護者が自らが行っている介護の価値に気づき,要介護者とよりよい信頼関係を築いていくことができるような《介護者を理解し,話を聞く存在とサポートシステムの構築》も重要であると考えられた.