日本在宅ケア学会誌
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在宅介護をする家族員間にみられる介護の分担
藤野 希千葉 由美山本 則子
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2010 年 13 巻 2 号 p. 101-108

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抄録

複数の家族員による介護の分担状況を探索するため高齢者の家族に聞き取り調査を行った.2 か所の訪問看護ステーション利用者の主介護者8 人を対象に半構成的面接を実施し質的に分析した.訪問看護師が判断した家族間の良好な連携がみられる事例と不十分な事例を比較し特徴をまとめた.具体的な分担状況はさまざまであったが,良好事例では多側面で主介護者の求めに応じ副介護者が分担する場合や,定期的な時間や一定の内容を副介護者が責任を持ち分担する場合がみられた.その他,家族が共通して介護に意欲的であること,家族員がお互いに精神的に支え合うこと,主介護者が副介護者に支援を頼めること,分担の決定権が主に主介護者にあり副介護者が主介護者の求めに応じる形をとること,要介護者への思いを共有し,常に介護状況についての共通理解をもっていること,などが良好事例に特徴的であった.家族員間の介護の効果的な分担のために支援する可能性がうかがわれた.

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© 2010 一般社団法人日本在宅ケア学会
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