論文ID: 24-26LG
地球温暖化係数の低い冷媒への転換が求められており,種々の物性が精力的に調査されている.地球温暖化係数の測定も進んではいるものの,今後新しい候補物質を検討するにあたり簡易予測方法が役立つと考えられる.従来冷媒R23,R32,エチレン派生物質R1123,R1132a,R1132(E),R1132(Z)を取り上げ,量子化学計算を用いた予測を試みた.放射効率は,測定値よりも10%から60%高い値を得た.M06- 2X/aug-cc-pVTZ で得られた活性障壁と,温度272 K における反応速度定数の相関を類似の物質を含めて確認し,作成した簡易相関式を利用して大気寿命の計算を試みたところ,R23 の大気寿命の計算値は文献値の1.51 倍であったものの,10 年程度の大気寿命であれば1 年以内で一致し,大気寿命が0.1 年より短い場合も,0.76 倍から1.35 倍以内で一致した.以上から算出したGWP は,IPCC の報告値と概ね± 50%以内で一致した.ただし,R1132(E)のGWP は文献値の2.24 倍高い値であった.