2010 年 13 巻 2 号 p. 42-50
本研究は,在宅生活に不安を感じて軽費老人ホームという生活の場を選択した高齢者が,集団生活という新たな環境のなかで,その人なりの健康状態をコントロールしながら,前向きに生きようとしていく姿を,高齢入居者の視点に立って明らかにすることで高齢者支援についての示唆を得ることを目的とした.研究方法は,入居者14人に半構造化インタビューを行い逐語録を作成し,分析手法は木下修正版グラウンデット・セオリー・アプローチ(M-GTA)を活用した.分析結果として,36の概念,8つのサブカテゴリー,4つのカテゴリーに分類され,概念間とカテゴリー間の関係を整理した.これらから,高齢者がどのようなプロセスを経て老人ホームの生活に適応していくのかということが明らかとなり,このような適応過程は,ホームへの入居が主体的な選択であったということと深く関係していることが示唆された.