2013 年 16 巻 2 号 p. 37-44
〔目的〕目的は,歩行可能な認知症患者の家族介護者の家庭血圧の実態を明らかにすることとした.
〔方法と結果〕対象は介護者21人と非介護者21人とし,自記式質問紙と家庭血圧の自己測定を実施した.介護者の年齢は,中央値62歳,非介護者が64歳であった.主観的ストレスは,介護者が非介護者より有意に高かった(p < 0.001).高血圧の病歴のない対象において,就寝前・起床後の血圧が基準値以上のそれぞれの割合は,介護者が非介護者より有意に多かった(p = 0.035, p = 0.035).
〔結語〕歩行可能な認知症患者の家族介護者では,持続性高血圧あるいは仮面高血圧の疑いのある者が非介護者に比べて多かった.認知症の家族介護者の健康支援や高血圧の早期発見のために朝晩の家庭での血圧測定の導入の必要性が示唆された.