2013 年 16 巻 2 号 p. 53-60
本研究の目的は,在宅ターミナルケアにおける訪問看護師のケアや言動に対し,介護者がどのように受け止め,感じ,考え,行動したのかを明らかにすることである.
介護者17人を対象に半構成的面接を行い,データを質的記述的に分析した.その結果,53のサブカテゴリーと17のカテゴリーが抽出された.さらに≪在宅療養に向けて軽減していく不安≫から≪共に乗り越えてきた心通う同志のような一体感≫,そして≪戸惑いながらも受け入れようとしている新しい生活への気づき≫となり,≪自身で立ち上がり新しい生活を築こうとする歩み出し≫という4つの特徴ある変化が中核カテゴリーとして明らかになった.遺族訪問は,介護者にとって新しい生活へ踏み出そうとする重要な機会になっていた.訪問看護師の安楽を提供できる確かな看護技術,介護者との信頼関係を構築する優れた能力がもっとも重要である.