2014 年 17 巻 2 号 p. 29-36
本研究の目的は,訪問看護師の死生観と個人背景の関連を明確にすることである.A 県内52 か所の訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師354 人を対象に調査を行い,221 人を分析対象とした.
死生観尺度各因子と個人背景の関連を一元配置分散分析,Tukey の HDS 検定,t 検定で分析した結果,「 解放としての死」と,年齢(p = 0.010),臨床経験年数(p = 0.002), 内科系の臨床経験年数(p = 0.033)との間に有意な関連があった.「死への恐怖・不安」と年齢(p = 0.037),「死からの回避」と訪問看護経験年数(p = 0.024)との間に有意な関連があった.「人生における目的意識」は,これまでの看取りに満足感があるほうが高かった(p < 0.001).在宅ターミナルケアの質の向上には,肯定的に死を受容しながらその人らしい人生を全うできるように最期まで,死を回避せず療養者・家族を側面から支えるという目的意識を明確にもち,訪問看護経験を積んでいくことが,看取りの質(満足感)を高め,死生観を高めていくことにつながることが示唆された.