2014 年 17 巻 2 号 p. 37-44
本研究の目的は,がんを含む慢性疾患を3 群に分類し,疾患類型別の訪問看護師の予後予測の的中率と予測時点に出現していた利用者の症状との関連を明らかにすることである.訪問看護師を対象に質問紙調査を実施し61 施設から138 票の回答を得た.130 票を分析対象として,判断と実際の差についてχ2検定を実施,終末期2 時点の症状との関連は,各項目種別により一元配置分散分析,Paired t-test,二元配置分散分析を実施した.その結果,訪問看護師の予後予測は3 類型ともに約5 割の的中率であることが明らかとなった.出現していた症状はA 型が疼痛,全身倦怠感,便秘・下痢および浮腫と不安の5 症状,B 型は全身倦怠感,浮腫,呼吸困難と抑うつ気分,C 型は便秘・下痢と全身倦怠感であり,3 類型共通に悪化期にかけての呼吸困難の増強があった.今後は訪問看護師がどのような現象をとらえて,何を指標に判断しているか参加観察等の前向き調査による明確化が課題である.