【目的】要介護高齢者と同居する家族介護者における慢性ストレスと睡眠障害との関連を明らかにすることとした.
【方法・結果】対象は,家族介護者36 人とし,自記式質問紙調査と唾液検査を実施した.睡眠評価はピッツバーグ睡眠質問票(PSQI),慢性ストレス指標には主観的ストレス,唾液中コーチゾル,唾液分泌型免疫グロブリンA(唾液s-IgA)を用いた.ストレススコアは,PSQI スコアが増加するほど有意に高くなった(β=0.434,p = 0.014).log s-IgA は,PSQI スコアが増加するほど有意に低下した(β=− 0.411, p = 0.031).
【結論】要介護高齢者と同居する家族介護者の睡眠障害は,主観的ストレスの増大,唾液s-IgA の低下との有意な関連を認めた.家族介護者の睡眠が障害されるほど,慢性ストレスが高くなった.睡眠の改善は,家族介護者における慢性ストレスの軽減につながることが示唆された.
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