2014 年 18 巻 1 号 p. 83-90
本研究の目的は,在宅で生活する終末期がん患者の主たる家族介護者の介護する力について記述することである.研究協力者は,在宅で終末期がん患者と共に生活する主たる家族介護者9 人であった.半構成面接法によりデータ収集を行い,質的分析を行った.その結果,9 カテゴリー: 《がん患者にとって“よい生活” になるように選択する》《家族介護者にとって後悔のない生活を選択する》 《家族生活の維持と介護を両立できるように調整する》《支えてくれる人がいることを認識できる》《ソーシャル・サポートを活用できる》《がん患者のペースに合わせる》《家族らしい時間を介護の糧にする》《自分の心の安定を保つ》《介護の大変さを客観視できる》が抽出された.家族介護者の介護する力とは,がん患者と家族の両者にとって望ましい生活を選択・調整できること,支援を認識・活用できること,家族らしさを糧にできること,自分の状況を客観視できることであった.