2016 年 19 巻 2 号 p. 34-41
目的:特別養護老人ホームの介護職員の背景要因が,施設での看取りへの考えや不安・態度に影響する要因だと明らかにすることであった.
方法:石川県の特養の介護職員320 人に,郵送式無記名自記式質問紙調査を実施した.施設での看取りへの考えと不安は独自の調査票で,態度はFATCOD-B-J で測定した.
結果:226 通を回収した(回収率70.6%).介護職員の74.8%は現施設での看取りを経験した.近親者の看取り経験者や施設での看取り経験者は,施設での看取りに肯定的であった(p < .01 とp < .001).近親者や現施設の看取り経験者は,看取りへの態度が積極的であった(p < .05 とp < .001).施設での看取りの不安は,年長者は夜間の医師不在(p < .05)など,現施設の勤務が長い者は個室の少なさ(p < .001)を挙げた.
結論:施設での看取りの質の改善には,介護職員の要因に応じた看取りへの不安の解消が必要である.