1999 年 2 巻 1 号 p. 60-67
本研究の目的は,①高齢者を対象とした訪問指導の実際から,そこで実施された看護技術を抽出,分類することにより「在宅看護技術」として提示する,②在宅の高齢者を対象に,K町の全事例の訪問指導担当保健婦から活動実態を聴取し,研究者,市町村関係者との協議を経て,これからの課題を明らかにすることである.研究方法は,群馬県K町で平成7年度,9年度に行われた訪問指導の記録をもとに,訪問担当者から対象者ごとに訪問の経過を聴取し,看護技術を分類した.さらに,在宅療養の実態,家族への介護方法の指導,看護技術実施上の工夫を聴取し,これからの課題を検討.その結果,①9カテゴリー49項目の在宅看護技術が抽出された.②在宅看護の課題として家庭内の転倒や窒息等事故の予防,生活リズムの確立,病状変化への速やかな対応,家族が行う介護や医療処置の指導,介護者の精神的支援,施設ケアの適切な利用が明らかになった.