本研究の目的は,ひとり暮らしの男性高齢者が配偶者と死別後に,食を通した交流に参加したきっかけと継続していくプロセスを明らかにすることである.高齢期に配偶者と死別し,ひとり暮らしになってから食を通した交流に参加している男性高齢者6 人を対象に,半構成的面接を実施した.修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて,質的に分析した.その結果,5 つのカテゴリーが生成された.配偶者と死別したひとり暮らしの男性高齢者は,死別悲嘆や家事など新たな生活への【立て直しの難しさ】を体験し,身近な人からの食を通した交流への参加の【誘いに乗ってみる】ことを通じ,【迷いと納得の繰り返し】のなか参加を続けることで,【食事と人の温もりによるいやし】により,悲嘆からの回復や生活を整えるための【ひとり暮らしを支える助け】を得ていた.人との交流が拡大することはひとりの生活を支える一助となるため,地域住民との交流を支援していく必要性が示唆された.