2018 年 22 巻 1 号 p. 99-104
本研究は,地域在住自立高齢者を対象に,誤嚥性肺炎予防をめざして,誤嚥性肺炎の関連要因といわれる栄養状態,歯磨き行動,および誤嚥性肺炎に関する認識とその性差について,実態を調査し検討することとした.対象は65 歳以上で自立した高齢者であり,方法は対象者1,000 人に対して郵送法自記式質問紙調査を実施した.回収は629 人(回収率62.9%)であった.内容は,属性,歯磨き行動や栄養状態,誤嚥性肺炎に関する認識であり,分析はχ2 検定およびMann–Whitney U 検定を用いた.分析の結果,歯磨きへの意欲(p <0.001),就寝前に歯磨きを忘れてしまうこと(p < 0.015),など男女間で有意差が認められ,歯磨きを忘れてしまう頻度は男性が女性よりも多かった.栄養状態や誤嚥性肺炎に関する認識については男女間で有意差は認められなかった.対象の性別も考慮しながら,高齢者に対する誤嚥性肺炎の予防行動に関するいっそうの健康教育を進めることの必要性が示唆された.