2021 年 25 巻 1 号 p. 65-76
本研究は,不衛生な家屋で生活するセルフ・ネグレクト状態の高齢者に,地域包括支援センターの専門職が行っている支援を分析し,効果的な支援を検討することを目的とした.
専門職6名を対象に2回のフォーカスグループインタビューを実施し,支援に関わる内容を質的記述的に分析した.
把握・見守り期では,【本人と会うことを目標に根気よく訪問する】【計画的に見守り孤立させない】等の8カテゴリが,初動期では【本人の困りごとを見つけ出す】【生命のリスクが高いことを的確に伝える】等の10カテゴリが,展開期では,【生命のリスクを見極め,生命を守ることを優先する】【つながりができるよう地域を巻き込む】等の9カテゴリが抽出された.
専門職は,根気よく信頼関係を構築し,生命のリスクを常に見極めながら,本人の困りごとから入り込み支援関係を構築して生活の再構築へと支援しており,地域のネットワークが課題であると示唆された.