2023 年 26 巻 2 号 p. 111-119
本研究の目的は,訪問看護師のスピリチュアリティと死生観,個人要因との関連を明らかにすることである.A県の全訪問看護ステーションに協力を依頼し,同意が得られた25施設122人の訪問看護師を対象に質問紙調査を実施した.このうち,得られ回答に欠損がなかった80人を分析対象とした.
調査内容は,スピリチュアリティ評定尺度(SRS)と死生観尺度を用い,個人属性として勤続年数や看取り経験などで構成した.スピリチュアリティとの関連はSpearmanの順位相関分析と重回帰分析を行った.その結果,死生観尺度因子の〈死後の世界観〉と〈人生における目的〉は,全てのSRS因子とその合計得点に関連が認められた.訪問看護師の現世を超えた魂のつながりや自己存在の意義といった「生き方」に目を向けた死生観のとらえがスピリチュアリティに影響しており,それへの意識を高めることが在宅高齢者のスピリチュアリティを支えるケアの質向上につながる可能性が示唆された.