2024 年 27 巻 2 号 p. 85-96
インスリン療法を行う要介護高齢者の自己管理が困難となる状況および必要な支援について訪問看護師の視点から明らかにし,在宅ケアでの多職種連携上の示唆を得ることを目的に,自由記載のアンケート調査を実施した.
その結果,訪問看護師がとらえた自己管理が困難と判断する状況として,インスリン注射の手技,低血糖やシックデイの対処ができないといった直接的な管理上の問題に加え,加齢等による感覚・認知機能・巧緻性の低下,健康状態や生活行動の変化,さらには支援体制の構築が困難な状況をあげていた.また在宅生活を継続するために必要な支援では,可能な限り自己管理ができるよう支援する他,主治医や他の医療機関,介護サービス担当者と対応を検討し支援体制を構築する必要性を指摘していた.さらに,現状の介護保険制度や医療保険制度によるインスリン療法支援の限界と支援拡大の可能性,支援ツール・社会資源の開発への期待が述べられた.