本研究の目的は,在宅要介護高齢者の主介護者の介護状況から生活の満足を規定する要因を見出し,エンパワーメントを視点においた社会的支援のあり方を模索することである.今回,主介護者47名に対し戸別訪問による聞き取り調査を実施した.データの因子分析結果から,介護状況の規定要因として,内面的生活満足度(F1),介護度(F2),自律性(F3),情動の統制(F4),余暇活動(F5),介護頻度(F6),周囲のサポート(F7),他者との温かいやりとり(F8),サービスの活用(F9)の9因子を抽出した.以上の9因子について主要概念との関係から検討し,F1は生活満足度,F2およびF6は介護量,F3およびF4,F9は対処行動,F5およびF7,F8はコンピテンスを刺激する要因であること,また,各々が相互関与しながら介護者の生活満足度を規定する「生活の満足に向けたエンパワーメント」モデルを構築した.このモデルにより,社会的支援は,物的サービスとともに,周囲のサポートや他者との温かいやりとりなど情緒的支援の重要性が示唆された.