2000 年 4 巻 1 号 p. 39-46
本研究は,在宅ケアマネジメントによって提供されたサービスを利用者が評価し,介護保険制度におけるケアマネジメントの有効な方法を検討することを日的としている.調査対象者は,介護保険シミュレーション実践に参加することを同意した在宅療養者のうち,3か月以上在宅ケアを継続しサービスを利用した73人である.利用者による評価は,在宅サービスに対する利用者満足度を測定する質問紙を作成し,自記式郵送法によるアンケート調査によって行った.作成した質問紙のクロンバックα係数は,0.943であった.利用者満足度の平均は89.2%で,最高は100%,最低は40%の範囲に分布していた.利用者満足度に影響を及ぼす要因としては,利用者の年齢,ケア会議の開催,ケア会議への利用者の参加,利用者によるケアプランの確認において有意な関連があった.利用者とサービス提供者が,ケア会議やケアプランの確認などを通して相互の理解を深め,ニーズや目標を共有しあうことによって,ケアマネジメントによる利用者満足度を高めることが示された.