2000 年 4 巻 1 号 p. 72-78
目的は,在宅で高齢な夫を介護している妻のWell-beingの関連要因を明らかにし,さらに要因について介護の時間的経過を探ることで家族支援のあり方を考えることである.
方法は,介護を要する配偶者を自宅で介護しているもう片方の配偶者で調査の承諾が得られた21名の介護者を家庭訪問により半構造的面接を実施した.
本論文の分析対象は夫を介護している妻に焦点をしぼり,さらに分析可能であった17名である。その逐語記録をカテゴリー化した.
結果:1)妻のWell-beingに関連する要因は,①夫婦関係,②社会参加,③家族・親族関係,④介護技術,⑤身体的健康,⑥生活環境の適応,の6つを抽出した.
2)夫婦関係の親密性と夫の状態安定は妻のWell-beingを高めていたが,夫との間で意思が通じないことはWell-beingを損ねる傾向にあった.
3)社会参加はWell-beingを高める要因であった.
4)家族・親族関係はWell-beingを高める要因と損ねることの双方に観察された.
5)妻のWell-beingの要因は介護の時間的経過で異なる.
以上より,妻のWell-beingの要因が若干示唆されたことと,介護期間との関係で介護を捉えていくことの意義が明らかにされた.