本研究の目的は,障害によるストレスの認知的評価尺度(CADS;Cognitive Appraisal of Disability for Stroke)を開発し,信頼性・妥当性を検証することである.
CADSは,小西の先行研究で明らかにされた脳血管障害患者の認知する問題点を基に,Lazarus理論に依拠しつつ24項目が選定された.プレテストにおいて健康の認知的評価表(CAHS)と有意な相関が得られ(r=.814,p<0.001),クロンバックα=.809,再テスト法(r=.976,p<0.001)と高い信頼性が得られた.
脳血管障害患者105人を対象に本調査を行い,因子分析の結果,5因子l8項目が抽出され,クロンバックα=.833と高い信頼性(内的整合性)が得られた.これらの因子は,Lazarus理論における認知的評価の心理的側面の構成を反映しており,構成概念妥当性が認められた.
以上より,CADSは障害によるストレスの認知的評価の心理的側面を測定する尺度として,高い信頼性・妥当性をもち,脳血管障害患者のストレス研究に使用できることが確認された.