2020 年 15 巻 1 号 p. 41-51
本研究は学校種別の養護教諭の性的マイノリティ児童生徒への対応の現状と課題を明らかにするために、学校種別対応の自信に関わる要因の検討を行った。2017年12月14日~2018年2月28日にかけて、公立の小学校、中学校(小学校503校、中学校260校)の養護教諭に対し調査票を郵送で配布、回収した。回収は、小学校が314校(回収率62.4%)、中学校が180校(回収率62.9%)から得た。高等学校においては、井出ら(2018)が実施した全日制高等学校93校のデータを用いた。学校種別に比較検討した結果、自信との関連は、知識の程度と、性的マイノリティ児童生徒の対応経験数、学校体制による影響があることが示された。しかし、学校種によって違いがみられ、知識と自信については、小学校、中学校の養護教諭は知識がある人ほど対応の自信があると回答しており、高等学校は知識の高低には影響がないことが明らかとなった。また、当該児童生徒の対応経験との関連では、小学校、中学校では差が認められなかったが、高等学校において対応経験数が多いほど、自信があることが認められた。学校体制については、高等学校のみ、学校体制が対応の自信に影響することが示された。よって、小学校と中学校との差は認められなかったが、小学校並びに中学校と高等学校においては、対応の自信に影響する要因が異なることが示唆された。