日本健康相談活動学会誌
Online ISSN : 2436-1038
Print ISSN : 1882-3807
原著論文
小学校における保健室登校の連携を成立させる要因と構造
長谷川 久江竹鼻 ゆかり山城 綾子
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2011 年 6 巻 1 号 p. 55-70

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抄録

 本研究は、小学校の保健室登校の事例において良い方向へ向かったと考えられる連携に着目し、そこで行われていた連携に関する要因とその構造を明らかにすることを目的とした。

 2007年8月~10月、小学校において保健室登校にかかわった経験をもつ現職の養護教諭に半構造化面接を行った。作成した逐語録のすべての事例から、良い方向へ向かったと考えられる連携についてのコードのみ抽出し、類似のコードをまとめてサブカテゴリーとし、さらにカテゴリー化・コアカテゴリー化を行った。得られたカテゴリーについて、保健室登校が良い方向へ向かったと考えられる連携要因の構造化を行った。

 結果として、小学校における保健室登校が良い方向へ向かったと考えられる連携では、【子どもにかかわりのある少人数間での活発な活動】や【組織としての活発な活動】が有効に機能していることが示された。また《養護教諭の活動》として【養護教諭の意識的な支援活動】をもとに、教職員に支援を求めたり複数配置の利点をいかしたりしながら、初期の段階から【養護教諭からの報告・提案】を行い、【養護教諭が行う支援者間の関係調整】を図っていることが明らかとなった。さらに連携を支える体制として、【学校全体の協力的な雰囲気】や【外部支援機関の活用】【管理職の積極的な支援】から《支援体制の基盤》が示された。

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© 2011 日本健康相談活動学会
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