日本健康相談活動学会誌
Online ISSN : 2436-1038
Print ISSN : 1882-3807
論文
養護教諭養成機関におけるフィジカルアセスメント教育の現状と課題
西森 菜穂遠藤 伸子
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 8 巻 1 号 p. 102-116

詳細
抄録

 近年、専門性の向上に役立つとされ、養護教諭を対象としたフィジカルアセスメントへの関心が高まっている。しかし、養護教諭養成機関におけるフィジカルアセスメント教育の実態については明らかになっていない。そこで、本研究では、養護教諭養成機関におけるフィジカルアセスメント教育の実施状況と養成を担当する者の認識について明らかにすることを目的に調査を行った。全国の養成機関153校に対し、郵送法にて無記名の質問紙調査を実施した結果、53校より回答が得られた。回答の得られた養成機関の8割が、フィジカルアセスメント教育を実施していたが、看護学系とそれ以外の養成機関では、フィジカルアセスメント教育の実施状況が異なっていた。特に、「頭部」、「腹部」、「四肢」など、部位別に頭から爪先までを対象とする系統別の教育については、看護学系以外の養成機関において、実施されていない状況がみられた。しかし、症状別のフィジカルアセスメント教育については、養成機関による実施状況の差はみられなかった。一方、教育すべき内容については、症状別に教授するアセスメント項目が、部位別のアセスメント項目よりも、教授すべき必要性が高いと認識されていることがわかった。以上から、看護師養成で行われているフィジカルアセスメント教育をそのまま導入するのではなく、養護教諭に特化した教育の内容及び方法について養成者間で吟味する必要性が示唆された。

著者関連情報
© 2013 日本健康相談活動学会
前の記事 次の記事
feedback
Top