2013 年 8 巻 1 号 p. 44-55
本研究は、性別違和感を抱える中学生・高校生に対する養護教諭の支援方法の特徴について明らかにすることを目的とした。
A県内の公立中学校及び高等学校において性別違和感を抱える中学生・高校生への支援経験がある養護教諭3名を対象として、2011年1月~3月、半構造化面接法による面接調査を実施した。分析は、逐語録から性別違和感を抱える生徒への養護教諭が行った支援内容を抽出し、質的帰納的に行った。
その結果、同性愛の疑い、性同一性障害の疑い、性同一性障害といった性別違和感を抱える5名の中学生・高校生に対する養護教諭の支援データは97項目抽出され、80項目のサブカテゴリー、20項目のカテゴリー、5項目のコアカテゴリーが見出された。この5項目のコアカテゴリーは、【本人の取り巻く状況を把握する】、【本人が性別違和感を抱えていることを把握する】、【本人のカミングアウトへの葛藤を把握する】、【本人のカミングアウトを支持する】、【校内外の関係者と連携して本人を支援する】であった。
以上のことから、養護教諭は、本人の取り巻く状況や本人の抱える性別違和感、カミングアウトへの葛藤を把握し、本人が養護教諭以外へのカミングアウトを行う場合には、本人への理解を深めた校内外の関係者が連携し支援体制を整え、養護教諭以外へのカミングアウトを望まない本人に対しては、学校内の本人の理解者として、継続的に支援していく支援方法の特徴が示された。