日本健康相談活動学会誌
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論文
子どものときに親を亡くした青年の死別から現在までの体験と変化
相川 朋生竹鼻 ゆかり
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2013 年 8 巻 1 号 p. 69-85

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抄録

 本研究は親と死別した子どもの体験に基き、親との死別から現在までの体験と変化を明らかにすることを目的とし、児童期や思春期に親との死別を体験した6名の大学生および社会人に対し、死別の経緯や周囲との関わり、死別によって生じた心身の変化などについて半構造化面接を行った。逐語録を作成し、死別による体験や変化について語られたコードを抽出し、類似のコードをまとめてサブカテゴリーを作り、カテゴリー化を行った。各カテゴリーは、さらに、心理的変化・社会的変化・身体的変化の3観点で分類した。また、カテゴリーの分類に先立って、体験や変化が表れた時期を5期設定した。

 その結果、親との死別によって子どもは、心理的変化を生じ、死別前後の強い衝撃が悲嘆感情に変化し、その悲しみは様々な感情と影響し合いながら表出されることが分かった。また、その悲しみはだんだんと和らぎながらも、現在にいたるまで何らかの形で残っていることが明らかになった。

 社会的変化のうち、家族関係は、時間が経過するとともに強固なものになったが、一方で、死別体験の当事者は、周囲との関わりに困難を感じていた様子が示された。

 また、強い悲しみにより身体的変化が生じたが、時間の経過に伴って悲しみが和らぎ、対処行動がとれるようになると、その反応は消失していた。

 そのなかで子どもは、悲しみへの対処の仕方を理解し実践することによって、徐々に自分のなかで悲しみを整理しながら生活できるようになっていた。

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