2021 年 14 巻 1 号 p. 1-15
背景:B型肝炎ウイルス(HBV)に感染した患者のスティグマと差別については多くの報告があるが、医療者の関わりに焦点を当てた報告はみられない。目的:B型肝炎ウイルスキャリアの経験を明らかにし、医療者の倫理的行動について検討する。方法:HBVキャリア10人に対して、感染判明後の体験についてインタビューした。データは帰納的に分析し、カテゴリ間の関連図を作成した。倫理的配慮:青森県立保健大学研究倫理委員会の承認を得て(承認番号1618、2016年7月29日)、全ての対象者から書面で同意を得た。結果:データは1)医療者の関与による否定的な経験 2)医療者の関与による肯定的な経験 3)周囲の状況 4)病気による影響、の4コアカテゴリに分析された。結論:医療者は感染対策のみならず、HBVキャリアが抱える問題を理解して対応しなければならない。さらに看護師は、精神的サポートと生活指導、アドボケイトとしての役割を認識する必要がある。