日本ヒューマンケア科学会誌
Online ISSN : 2436-0309
Print ISSN : 1882-6962
原著
認知症高齢者の自発的な摂食行動を引き出す援助の構造
中村 祥子角濱 春美
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2016 年 9 巻 1 号 p. 2-16

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抄録

本研究の目的は、認知症高齢者ケアのエキスパートに面接することで、自発的な摂食行動を引き出す援助を必要とする認知症高齢者の特性、これに対する食事を促すケア方法とその効果を記述し、概念枠組みを作成することである。研究参加者は、認知症看護領域での経験が6年以上、又は認知症に関係する資格を持つ臨床看護師と認知症高齢者の援助に精通している看護大学教員とした。半構造化面接を行い、得られたデータの内容分析を行い構造化した。この結果、対象特性は認知症の中核症状である健忘などから引き起こされる状態を示していた。ケア方法は、この状態に対応し、食べられない原因の探求を日常的に行い環境や心情を整える援助を行った上で、食事に直接働きかける援助を個別性に合わせて行うこと、さらには、認知症の進行に伴って変化していく状態に沿った援助を行うことであった。ケアの成果は、自発的な摂食行動が引き出される一次的な成果と、これが継続されることで得られる、栄養状態の改善や家族の満足などの二次的な成果が抽出された。

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© 2016 日本ヒューマンケア科学学会
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