日本助産学会誌
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流産・死産・新生児死亡にかかわる助産師によるケアの現状
岡永 真由美
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キーワード: 周産期, 喪失, 悲嘆, 助産師, 実践
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2005 年 19 巻 2 号 p. 2_49-2_58

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抄録

目的
本調査は, 流産や死産・新生児死亡にかかわる助産師が, 女性や家族にどのようなケアを実施しているのかを明らかにすることである。
方法
助産師108名に質問紙調査を配布, 郵送にて回収した。調査内容は, 周産期の死別ケアの経験の有無, ケアの現状として赤ちゃんへの直接ケア (10項目), 赤ちゃんへの直接ケアを除いた母親や家族への初期の悲嘆へのケア (10項目), 母親や家族への継続ケア (6項目) の26項目を作成しケアの実践頻度と実践自立度を尋ねた。自由記載には, ケアに満足してもらえたと感じた場面と, 難しいと感じた場面の記述を依頼した。
結果
調査票は46名 (42.6%) から回答を得た。周産期の死別ケアで50%以上の助産師が実践している項目は26項目中13項目で, 赤ちゃんへの直接ケアと初期悲嘆へのケアであった。周産期の死別ケアで「一人でできるケア」は, 初期悲嘆へのケアと赤ちゃんへの直接ケアであった。「できない」と回答した項目は, 継続ケアが多かった。助産師が満足してもらえたと感じるケアには, 赤ちゃんの思い出作り, 共にいること, 難しいと感じたケアには, 助産師自身の感情への戸惑い, 継続ケアや専門職との連携がとりにくさがあった。
結論
周産期の死別に関して継続ケアを含めたスタッフ同士の話し合いや, 振り返りの機会をもつこと, 開業助産師との継続ケアを検討する必要性が示唆された。

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© 2005 日本助産学会
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