日本助産学会誌
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原著
正常な産褥早期の母親への背部マッサージによるリラクセーション効果
—自律神経活動および主観的指標の観点から—
中北 充子竹ノ上 ケイ子
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2009 年 23 巻 2 号 p. 230-240

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抄録

目 的
 本研究の目的は,正常経過をたどる母親を対象に背部マッサージによるリラクセーション効果を自律神経活動および主観的指標の観点から検討することである。
対象と方法
 対象は正常な産後経過をたどる母親45名で,無作為に介入群(22名)と対照群(23名)に割り付け,2群間比較をおこなった。産後3日目,一定条件下の介入群では20分間の無臭オイルを使用した背部マッサージを施行,対照群には20分間の安静臥床を行い,心拍数・HF・LF/HFによる自律神経活動とRE尺度による主観的指標でリラクセーション効果を測定した。
結 果
 介入群では,介入前と比較し介入中・後に心拍数の減少,HFの増加,LF/HFの減少やRE得点の上昇がみられ,リラクセーション効果を示唆する結果が得られた。しかし,対照群においても変化の仕方は異なるが,介入群同様の結果がみられ,2群間には有意な差は認められなかった。
結 論
 産後早期の母親は,背部マッサージを受けることで副交感神経活動が優位に変化すること,主観的にもリラックス感を得られることが推測された。しかし,統計的に有意差は認められず,背部マッサージのリラクセーション効果の判定には至らなかった。安静臥床や睡眠による影響,産後における自律神経活動の個人差が大きいことが推測された。

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© 2009 日本助産学会
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