抄録
目 的
本研究は妊婦を対象とする調査の予備的研究として,成熟期女性を対象に冷水負荷試験を行い,冷え症を客観的に評価することを試みた。さらに自覚症状および身体的所見との関連を明らかにすることを目的とした。
対象と方法
健康な女性45名を対象に,左手を15℃の冷水に1分間浸水させる冷水負荷を行い,負荷後10分間の手指皮膚温と末梢血流量を測定し,皮膚温の回復率を算出した。
結 果
手指皮膚温の10分後回復率が90%に満たない回復不良群が9名(20%)存在した。回復不良群は良好群に比べて,負荷前の手指皮膚温,負荷前の末梢血流量,基礎代謝量,肥満度,体脂肪率が有意に低かった。冷え症評価尺度得点には有意差がみられなかった。負荷前の手指皮膚温(r=0.501),負荷前の末梢血流量(r=0.392),基礎代謝量(r=0.368)は,冷水負荷10分後の回復率と有意な相関がみられたが,回帰分析による予測精度は低かった。
結 論
手指皮膚温,末梢血流量,基礎代謝量が低いほど,冷水負荷による皮膚温回復率は低い傾向にあった。しかし冷え症の自覚症状とは関連がみられなかった。