日本助産学会誌
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原著
初妊婦の胎児への愛着と生活行動との関連
相馬 深輝
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キーワード: 初妊婦, 胎児, 愛着, 生活行動
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2011 年 25 巻 2 号 p. 203-214

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抄録

目 的
 初妊婦の生活行動の実態を明らかにし,胎児への愛着と生活行動との関連を検証すること。
方 法
 対象は,妊婦健診を受診している妊娠末期の初妊婦1024名で,北海道内の産科施設40か所に無記名自己記入式質問紙の配布を依頼,郵送法によって回収した。質問紙は,基本的属性,妊娠関連事項,胎児愛着尺度(PAI)日本語版翻訳,エディンバラ産後うつ病自己調査表(EPDS)日本語版,Rosenbergの自尊感情尺度日本語版,妊娠前後の生活行動(食生活,睡眠,運動)の項目で構成した。分析は記述統計およびノンパラメトリック検定を行なった。
結 果
 回収した質問紙575部のうち対象選定基準に適う440名を分析対象とした(有効回答率43.0%)。年齢は平均29歳,妊娠週数は28~39週であった。PAIと関連があった項目は,妊娠の希望と計画性,妊娠が分かった時の気持ち,乳幼児に感じているイメージ,高い自尊感情であった。また,妊娠後の生活行動でPAIと関連があった項目は,規則的な食事,鉄分を含むものの意識的摂取,日中の睡眠時間,運動習慣であった。
結 論
 本研究より,妊婦の胎児への愛着と関連していた生活行動は,規則的に食事をとること,鉄分を含むものを意識的に摂ること,日中の睡眠時間の確保,継続的な運動習慣であった。これらの生活行動を把握することにより,胎児への愛着を推察できることが示唆された。胎児の健康と成長を大切にする妊婦の意識が,自身の健康に努める生活行動の内発的動機づけとなっていることが推察された。

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© 2011 日本助産学会
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