日本助産学会誌
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早産児を出産した母親が母乳育児を通して親役割獲得に向かう過程
田中 利枝永見 桂子
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2012 年 26 巻 2 号 p. 242-255

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抄録
目 的
 早産児を出産した母親が,母乳育児の体験を通して,親役割獲得に向かう過程を明らかにし,母親が児との関係性を育み,母親役割を獲得していけるような母乳育児支援の方向性を考察する。
対象と方法
 研究デザインは質的記述的研究とし,在胎週数23週~28週の早産児を出産し,母乳育児中の母親7名に,母乳育児を通した体験や思い等に関する半構成的面接法を実施した。得られたデータは質的帰納的に分析した。
結 果
 母親は〈早産という喪失体験に伴う複雑な心理状態〉で〈妊娠期の長期安静に伴う産後の体力回復の遅れ〉もある中,出産直後からの〈母乳育児開始に向けた助産師の支援〉を受けて〈早産したからこそ生じた母乳へのこだわり〉により,搾乳を開始していた。直接母乳ができるようになるまでの搾乳の過程では〈母乳育児継続を支えた看護者や家族の存在〉により〈児のためにできる搾乳の継続〉と〈搾乳を通した役割の模索〉を繰り返していた。直接母乳ができるようになると〈直接母乳により劇的に湧き出てきた母親としての実感〉を自覚していた。またこれらの過程で〈早産により中断された育児イメージの修正〉が繰り返されていた。児の退院前には,母親が〈現実感とともに高まる児への愛情〉を感じ,母乳育児を通して〈母親としての自己効力感の高まり〉が生じる一方〈育児イメージの広がりとともに生じる予期的不安〉を抱えていた。
結 論
 早産児を出産した母親の母乳育児を通した親役割獲得を促進するためには,母親の母乳育児への動機付けや意味付けを支援する看護の重要性が示唆された。
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© 2012 日本助産学会
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