日本助産学会誌
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原著
「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の信頼性・妥当性の検討
中島 久美子常盤 洋子
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2013 年 27 巻 1 号 p. 16-28

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抄録

目 的
 本研究の目的は,「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の信頼性と妥当性を検証し,尺度の有用性を検討することである。
方 法
 対象は第1子妊娠期の夫婦800組である。夫婦ペアで回答が得られた376組のうち277組を分析の対象とした。「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」は妻用と夫用の尺度で構成され,内的整合性と因子的妥当性が確認されている。回答は5件法であり,夫の関わりに対する妻の満足の程度が測定される。基準関連妥当性の検討には「QMI」(夫婦関係満足尺度)と「SUBI」(心的健康感尺度)が使用された。
結 果
 因子分析の結果,「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」は,妻と夫の両尺度に「妻の健康と情動への気づかい」「家事労働」「子どもが生まれることに関する夫婦のコミュニケーション」の3つが抽出された。3下位尺度は「妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わり」の構成概念の「夫婦の親密性」「家族システム」「親になる意識」に類似する概念であり,構成概念妥当性が支持された。「妻用の尺度」と「QMI」との間に正の相関(r=.20~.63, p<.01~.05),「夫用の尺度」と「QMI」との間に正の相関(r=.25~.50, p<.01~.05)が示された。「妻用の尺度」と「SUBI」の間に正の相関(r=.20~.53, p<.01~.05)が示された。このことから基準関連妥当性が確認された。信頼性の検討では,Cronbach's α=.76~.86(妻用),α=.80~.86(夫用),折半法信頼性係数は,ρ=.86~.91(妻用),ρ=.86~.90(夫用)であり高い信頼性が確認された。
結 論
 「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」は妊娠期の妻への夫の関わりに対する妻の満足感を妻と夫の認識から測定できる信頼性と妥当性が確認された尺度であることが証明された。本尺度の活用により,妊娠期の夫婦が相互に理解しあえる関係性のアセスメントに役立てることが期待でき,妊娠期の夫婦の関係性を支援する尺度の有用性が示唆された。

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© 2013 日本助産学会
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