日本助産学会誌
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原著
学童期後期の子供に対する父親の養育の行動と意識に影響する要因
前原 敬子齋藤 ひさ子
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2014 年 28 巻 2 号 p. 144-153

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抄録
目 的
 本研究では,学童期後期の子供に対する父親の養育の行動と意識を明らかにし,影響を及ぼす要因を検討する。
方 法
 研究協力の得られた小学校,子供会へ質問紙調査を実施し,有効回答の得られた251名を分析対象とした。子供に対する父親の養育を行動と意識から因子分析し,影響する要因を「家族要因」「労働要因」「個人要因」より相関係数を求めて検定した。影響度を明らかにするために相関が確認できた変数を重回帰分析で分析した。
結 果
 学童期後期の子供に対する父親の養育の行動と意識は因子分析の結果,行動に第1因子「管理/成熟への要求行動」第2因子「会話/表現行動」が抽出された。意識に第1因子「会話/表現意識」第2因子「管理/成熟への要求意識」が抽出された。行動・意識ともに高い内的整合性が確認できた。父親の養育に影響を与える要因は行動・意識の因子と相関の見られた「個人要因」の性役割観,親役割受容感,「家族要因」の夫婦関係満足であった。子供に対する父親の養育の影響度を明らかにするため,相関の見られた3つの変数を独立変数として重回帰分析を行った。結果,父親の養育の行動と意識に最も影響を与えていた要因は夫婦関係満足であった。
結 論
 学童期後期の子供に対する父親の養育行動は,社会規範・基本的生活習慣を守らせるなど統制性の行動をとっており,意識は子供との共動作的な関わり,コミュニケーションなどの応答性を意識していることが認められた。父親の養育の行動と意識に最も影響を与えている要因は夫婦関係満足であり,学童期後期の子供に対する父親の養育は,妻との関係に満足していることが子供への関わりを促していた。これより,家族を含めた支援の必要性が示唆された。
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© 2014 日本助産学会
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