目 的 子育て期早期は妊娠・分娩の身体的変化からの回復時期であり,新しい子どもの子育てが加わる多重役割状態への移行期でもある。「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」に向けて,主に子育てを担う母親自身が身体的に良好な状態でやりたいと考える子育てに取り組めることが望ましい。
産褥期(産後6~8週間)後の子育て期早期にある母親がやりたいと考える子育てができているのかを明らかにし,その関連要因を検討する。
対象と方法 対象者は,生後6~11ヶ月の子どもをもつ都市部の子育て期早期にある女性500名(無作為抽出)。無記名自記式調査票を用いた郵送調査(配布・回収2010年10月~11月,有効回収274名,54.8%)。調査票には,やりたい子育ての実現状況と身体的健康状態として身体不調症状,蓄積疲労度(疲労蓄積度自己診断チェックリスト),健康関連QOL SF-8,睡眠状態を含む26設問を含めた。
結 果 4.5(SD2.8)個の身体不調症状を抱え,SF-8の下位8項目とPCS,MCSの全てが50を下回った。疲労蓄積度の自覚症状では「以前と比べて疲れやすい」「イライラする」が「よくある」か「時々ある」が7割以上を占めた。夜間睡眠6.4(SD1.3)時間,途中授乳等での覚醒が2.7(SD1.4)回だった。睡眠による疲労回復感は,「十分」は12.0%(33名)のみで,「まあまあ」51.1%(140名),「あまり」と「ほとんどとれていない」を合わせ36.5%(100名)だった。
56.9%(156名)が「やりたい子育て」ができており,睡眠による疲労回復感が「まあまあ(オッズ比4.7, 95%信頼区間1.88-11.58)」か「十分に(6.9, 1.65-28.97)」あると,40歳以上(6.1, 1.14-32.60),祖父母の同居(3.4, 1.06-11.09)と関連があった。
結 論 子育て期早期の女性は,身体不調症状をかかえ健康状態を悪く認識し蓄積した疲労症状があった。睡眠による疲労回復感は良好ではなかった。約半数は自身のやりたい子育てができていると考えており,睡眠による良好な疲労回復感と40歳以上,祖父母の同居が関連していた。
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