2017 年 31 巻 1 号 p. 3-11
目 的
本研究では,妊婦の精神的ストレスのバイオマーカーを生理的評価指標に,尺度を用いた質問紙調査によるものを心理社会的評価指標に位置づけ,両指標の関連性について検討することを目的とした。
方 法
医学中央雑誌Web版,PubMed,CiNii,The Cochrane libraryをデータベースとし,「妊娠期」「ストレス」「Pregnancy」「women」「Stress」「Hormones」をキーワードに検索した。妊婦の精神的ストレスに関して生理的・心理社会的評価指標の両指標を用いた文献を抽出し,国内文献10編,海外文献32編をレビュー対象文献とした。
結 果
活用頻度の高いストレスのバイオマーカーはCortisolである。国外の先行研究では,バイオマーカーを複数組み合わせた調査が国内より多くあった。妊婦の精神的ストレスに関する生理的・心理社会的評価指標間には,関連性・相関性は必ずしもあるわけではなく,一部に認められる,あるいは関連性・相関性がないことが明らかになった。
結 論
1) 生理的評価指標を用いる場合,研究目的とバイオマーカーの特徴に応じた選定が重要である。
2) 生理的評価指標と心理社会的評価指標は必ずしも関連性・相関性があるとは限らない。
3) 妊婦の精神的ストレスの評価指標には,社会統計学的因子や調査時期等が影響を及ぼす可能性がある。
4) 複数の生理的・心理社会的評価指標の組み合わせ及びインタビュー法・前向き研究等,多側面からの評価が必要である。