日本助産学会誌
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原著
母児訪問助産師がとらえた初産婦の産後1か月以内のメンタルヘルスの状況
葛西 圭子山城 五月田村 千亜希北目 利子渡邊 香竹原 健二
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2018 年 32 巻 1 号 p. 27-36

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抄録

目 的

新生児訪問を実施している助産師が産後1か月以内の母親のメンタルヘルス状況についてどのような観点に着目してアセスメントを行っているかを明らかにする。

対象と方法

新生児訪問を行っている13名の助産師を対象に訪問指導時における初産の母親を中心としたメンタルヘルス状況について,半構成的面接によってデータを得て,質的記述的分析を行った。

結 果

助産師がとらえた「母親のメンタルヘルス及び育児状況の良い状態ではない人」について以下のカテゴリーの観点が抽出された。【母親の状況】では,<つらさの表出><こだわりと自責傾向>,<乱れた生活行動><不適切なコーピング行動><産後思わしくない身体回復><違和感のある住環境><母親に影響する経済状況>の7つに,【児と育児状況】については,<対応しづらい児><育児への戸惑い><母乳への不安>の3つに,【子育てに影響する母親の体験】では,<育児体験のなさ><子育てに影響する成育歴><子育てに影響するキャリア><精神的既往><出産時のつらい体験><大切な人の死>の6つに,【母親への支援】では,<パートナー,血縁からの不適切な支援><医療者からの不適切な支援><孤独と不適切な関係性><不安から多くの質問><円滑にできない情報の発信と収集>の5つのサブカテゴリ―に分類された。

結 論

助産師は産後1か月以内の初産婦のメンタルヘルス状況について,母児の状況と生活環境などを合わせて推論し,母親の体験や支援,対人関係のありようが母親のメンタルヘルス状況に影響を与えているととらえていた。産後1か月以内の初産婦個々に合わせた支援を行う重要性が確認された。助産師には生活環境と母児の状況を合わせてアセスメントを行い,妊娠中から産後にかけて地域の様々な社会的資源の活用,連携による支援を行っていくことが期待される。

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