日本助産学会誌
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妊娠期の妻への夫のサポート行動と胎児への関心―助産院と病院の比較調査から―
尾栢 みどり
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2018 年 32 巻 2 号 p. 125-137

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抄録

目 的

妊娠期の妻への夫のサポート行動及び胎児への関心において,助産院・病院健診での違い及びその関連要因を明らかにする。

対象と方法

対象者は,正期産・経膣分娩(双胎を除く),出産後1週間以内の褥婦の夫328名で回収数は137名(回収率42.4%)であった。内訳は関東地方の助産院5ヶ所70名,総合病院の産科病棟1ヶ所67名であった。平成26年7~10月に無記名自記式質問紙調査を実施し,調査内容は妊娠期の妻への夫のサポート行動及び胎児への関心,夫婦間の愛情関係,妊婦健診・両親学級への同行に対する妻の希望などとした。差の検定はMann-WhitneyのU検定,二元配置分散分析などを,相関分析にはスピアマンの順位相関を用い,いずれも有意水準は5%とした。

結 果

対象者の年齢は26~52歳,平均36.2±5.3歳であった。助産院・病院健診の比較では,助産院健診に第2子以降が,病院健診に第1子が多かった(p<.01)。そのため,助産院・病院健診と第1子・第2子以降の2要因による二元配置分散分析を実施し,胎児への関心には第1子であることが影響していた(主効果,p<.001)。一方,妻へのサポート行動は,買い物の荷物を持つことは病院健診の場合に,散歩の付き添いや妻へのマッサージは第1子であることが影響しており,質問項目により結果が分かれた。

妊娠期の妻への夫のサポート行動および胎児への関心の関連要因では,夫婦間の愛情関係得点が高いほど夫は妻へのサポート(ρ=.197~291,p<.05)をし,胎児への関心(ρ=.276~.313,p<.01)を示していた。

結 論

胎児への関心は,助産院と病院健診の違いではなく第1子の父親であることが影響していた。一方,妻へのサポート行動は質問項目により結果が分かれた。また,妻へのサポート行動や胎児への関心の関連要因は夫婦間の愛情関係などであった。

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