日本助産学会誌
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原著
出産体験の評価尺度Salmon's Item Listの日本語版の開発―分娩様式を問わない出産体験評価尺度の検討―
佐藤 恵佐藤 眞理小山田 信子佐藤 喜根子
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2018 年 32 巻 2 号 p. 113-124

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抄録

目 的

帝王切開による出生数は2014年には19.7%と増加している。日本において,経腟分娩で出産した母親と帝王切開術で出産をした母親の出産体験を同一の尺度で比較するための適切な尺度は見当たらない。そこで本研究では,出産体験の分娩様式による違いを比較するためにSalmon's Item Listの日本語版を開発することを目的とした。

方 法

まず,世界保健機関(WHO)が推奨する手順に沿って翻訳したSalmon's Item Listの日本語版を使用し,産後1ヶ月健診を受けた22名の女性にプレテストを実施した。次に5つの二次救急病院において産後1ヶ月健診を受けた女性401名が,プレテストで内容を確認したSalmon's Item Listの日本語版を実施した。分析にはSPSSver.23を使用し,有意水準は5%未満とした。

結 果

有効回答数は344名(68.8%)であった。信頼性を示すCronbach α係数は合計点において0.849,下位尺度では0.654–0.90であり,概ねオリジナル版と同様の結果であった。この尺度は,得点が高いほど肯定的な出産体験であることを示す。最も高得点であったのは予定帝王切開術であり,続いて自然分娩,緊急帝王切開術,吸引分娩であった。

結 論

このSalmon's Item List日本語版はどの分娩様式においても出産体験の客観的な評価のために使用できる。今後はさらに使用症例を増やし下位尺度の構成要素等,検討を重ねていく必要があると考える。

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© 2018 日本助産学会
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