目 的
本研究は,助産外来と院内助産の開設,組織体制,運営,評価に関する実態を記述することを目的とした。
方 法
本研究は助産外来と院内助産の実態を記述する量的・質的記述的研究である。研究対象施設・対象者は,助産外来と院内助産の両者を設置し分娩の取り扱いがある病院・診療所とその施設の助産師とした。データ収集は,対象者にヒアリング前に質問紙に記入,その事前質問紙を用いた構成的面接を行った。期間は2017年9月から12月であった。調査内容は(1)助産師数とアドバンス助産師数(2)助産外来・院内助産の担当助産師の要件(3)対象妊産婦の基準,等とした。量的データは記述統計量を算出し,質的データは類似データをカテゴリ化した。本研究は,聖路加国際大学研究倫理審査委員会の承認を得て行った(17-A 054)。
結 果
全国28施設の助産師から同意と回答を得た。院内助産の年間分娩数は,平均45.5(SD65.2)件であったが,0から255件と幅があり中央値は13件であった。施設全体の助産師数は平均40.6(28.9)名であり,アドバンス助産師数は平均13.5(SD9.7)名であった。助産外来に関わる助産師数は平均12.8(SD9.4)名であり,経験年数が10~15年の助産師が最も多かった。一方,院内助産に関わる助産師数は10.1(SD3.9)名であり,経験年数20年以上が最も多かった。助産外来及び院内助産の妊婦の受診基準や医師への報告基準は27施設(96.4%)が設けており,産婦人科診療ガイドラインを参考に作成していた。2施設(7.1%)は,医師と協働して院内助産システムにおいて切迫早産の妊婦や社会的ハイリスク妊産婦に関わっていた。
結 論
助産外来や院内助産の対象者の受診や報告等の基準は,産婦人科ガイドラインを基盤に作成し,医師に相談報告がしやすい環境を生かし,助産師が安全にケアを行っている実態が明らかになった。