日本助産学会誌
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養育支援訪問事業で訪問助産師が行っている自身の支援に対する認識
谷郷 智美川村 千恵子寺井 陽子片桐 未希子大橋 一友
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2018 年 32 巻 2 号 p. 159-168

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抄録

目 的

本研究の目的は養育支援訪問事業に従事する助産師が持つ自身の支援に対する認識について明らかにすることである。

対象と方法

研究デザインは質的記述的研究であった。研究参加者はA助産師会に所属し,養育支援訪問に従事している助産師12名であった。半構造的面接により自身の支援に対する認識について尋ねた。得られたデータを質的帰納的に分析した。

結 果

養育支援訪問事業に従事する助産師が行っている自身の支援に対する認識は26個のサブカテゴリーと9個のカテゴリー【】が抽出され,『関係作りの大切さ・難しさ』『支援者としての精神的負担・充足感』『支援上の困難・課題』の3つに分類された。助産師は『関係作りの大切さ・難しさ』を認識し,自身の支援に対して【訪問が継続できるように関係作りに力を入れる】【自分の知識と技術と継続訪問の強みを活かす】【対象者の自信を向上させるために対象者を受容し,対象者の現在の力を伸ばす】と認識していた。また『支援者としての精神的負担・充足感』を感じ,【自分の精神的負担をマネジメントする】【自分の支援の成果が不十分に思え精神的負担を感じる】一方,【自分の支援の成果にやりがいを感じる】【視野が広がり自分の助産師活動に深みが増したと感じる】と認識していた。また,『支援上の困難・課題』に対して【支援の責任範囲と支援の限界を見極める】【同事業従事の助産師とのコミュニケーションの必要性を感じる】と認識していた。

結 論

助産師は自身の行っている支援は専門性を活かした継続的支援であり,従事によって助産師活動に深みが増し自身の成長につながると認識していた。一方対象者と向き合う為に精神的な負担も大きく助産師に対する支援を求めるとともに,自身の支援の範囲を見極めていた。

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