日本助産学会誌
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世界保健機関連携事業によるEarly Essential Newborn Careファシリテーター育成の実際
山本 真実新福 洋子岡 美雪福冨 理佳高橋 菜央堀内 成子
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2019 年 33 巻 1 号 p. 72-81

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抄録

目 的

開発途上国の医療従事者に向けて早期必須新生児ケア(EENC)のコーチングをするファシリテーターを養成するセミナーにおける1)手洗い技術の変化,2)EENCの知識テストのスコアの変化,3)分娩介助,新生児ケアにおける実技評価を記述することである。

対象と方法

2016年10月に4日間のEENCのコーチングセミナーを実施した。世界保健機関・西太平洋地域事務局(WHO WPRO)より2名の講師を招聘し,将来リーダーとなり,自施設でEENCの実践や普及を行っていく開発途上国の医療従事者と,近い将来開発途上国で活動する日本の医療従事者を対象として行った。主なプログラム内容は,手洗い技術,EENCに関する知識のプレ・ポストテスト,分娩介助と新生児ケア・蘇生について実技評価であった。

結 果

参加者は18名(開発途上国の医療従事者5名,日本の医療従事者13名)であり,そのうちプレ・ポストテストともに参加した者は15名であった。セミナー前後で,手洗い後の汚れの残存が減少し,手洗いの結果に改善が見られた。知識テストについては,参加者全体のスコアはプレテストの6割程度からポストテストでは9割以上に達していた。実技については,3グループ(1グループ6人)に分かれ,グループ毎にロールプレイを用いて繰り返し練習を行った。セミナー後の実技評価のスコアは9割以上に達していた。

結 論

セミナー後には,手洗いの仕方に改善が見られ,参加全体の知識テスト,実技評価のスコアは9割以上に達していた。開発途上国,それぞれの国で継続して実施できるEENC教育の普及が必要であり,十分な数のファシリテーターの育成が今後の課題である。

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© 2019 日本助産学会
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