日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
33 巻, 1 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
巻頭言
原著
  • 塩澤 綾乃, 清水 嘉子
    2019 年 33 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    目 的

    入院中の乳児に付き添う母親の母乳育児に対する考えとその考えの根底にある思い,および,母乳育児に対する考えに伴う心理を明らかにし,付き添いをしながら母乳育児を継続する母親への支援を考察することを目的とした。

    対象と方法

    子どもが1歳になる前に小児科入院病棟を有する医療3施設に入院し,付き添い中に母乳育児を行っていた母親11名に,子どもの退院後3ヶ月から5ヶ月の時点で,付き添い中の母乳育児について振り返ってもらい,母親の母乳育児に対する考えとその根底にある思い,母乳育児に伴う心理について半構成的面接を実施した。得られたデータは質的帰納的に分析した。

    結 果

    母親の母乳育児に対する考えは,【これまで同様の母乳育児を遂行】【子どもの成長発達のためには母乳が一番】【頑張っている子どもに母親としてできること】であった。さらに,その考えの根底にある思いは【ゆずれない母乳育児への価値観】【親としての責任】【母乳を通じて子どもとつながっている】であった。母乳育児に伴う心理として,『スムーズにいかない母親役割』『母乳育児に対する考えと現状の不一致』『育児に没頭できる機会』『支援に対する感謝』があった。

    結 論

    看護者が母親の付き添い生活の中で前向きな気持ちを増やすための支援として,母親の母乳育児に対する考えを支持する必要がある。看護者が母乳育児支援の知識を身につけ,母親の不安に対応し,必要時助産師に早期支援を要請すること,常に母親の困りごとを把握し,気軽に相談できる機会を持つことで,支援に対する感謝や育児に没頭できる機会などの気づきとなる。このことは母親の母乳育児に対する考えを肯定する自信につながると考えられた。

  • 池田 真弓
    2019 年 33 巻 1 号 p. 14-26
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    目 的

    分娩後の骨盤底筋訓練を助産師が経腟触診にて指導することの実行可能性を,指導法を習得するための手順書の作成と,助産師が指導法を習得するプロセスから検討することである。

    方 法

    第一段階として経腟触診による骨盤底筋訓練手順書を作成し,泌尿生殖系の治療・看護を専門とする8名の医療職(助産師・看護師・医師)によってその適切性を検討した。第二段階として,助産師7名を対象に修正した手順書を用いて研究者が30分程度のレクチャーを行った。その後同意を得られた産褥4日目の褥婦に助産師が経腟触診による骨盤底筋訓練を実施した。実施後はリフレクションガイドを用いて振り返りを行い,質的記述的に分析した。

    結 果

    第一段階では,経腟分娩後の脆弱な骨盤底筋の状態を踏まえた具体的指導内容についての助言を得た。実施場所と実施時期,所要時間,使用する潤滑剤について検討し手順書を修正した。第二段階では,実施前は経腟触診の方法・経腟触診の評価指標であるOxford scaleについての質問があったが,実際は困難なく実施できていた。助産師とのリフレクションの結果から,【技術の獲得】【経腟触診の体感】【実践に向けた意識】のカテゴリが抽出された。対象となった褥婦からは実施後のインタビュー・無記名式質問紙ともに否定的な意見はなく,肯定的な評価であった。実施にあたり問題となる点は見られなかった。

    結 論

    本研究に参加した助産師は,作成した手順書を用いて経腟触診による骨盤底筋訓練指導法を困難なく習得でき,実施に問題は生じなかった。経腟触診による分娩後の骨盤底筋訓練は,助産ケアとして臨床で実践できることが示唆された。

  • 松井 弘美, 齊藤 佳余子, 二川 香里, 笹野 京子, 長谷川 ともみ
    2019 年 33 巻 1 号 p. 27-37
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    目 的

    助産実践能力習熟段階レベルIの助産師の分娩期のハイリスク妊産婦ケア経験からの学習を明らかにする。

    対象と方法

    研究デザインは質的記述的研究。X県内の総合周産期母子医療センター,地域周産期母子医療センター,二次医療機関に勤務する助産実践能力習熟段階レベルIの助産師で,分娩期のハイリスク妊産婦ケアの経験のある助産師20名に,半構成的インタビューを実施しデータを得た。経験からの学習としての助産師の感情,思考と行動,経験から獲得した知識に関する内容に焦点を当て抽出し,コード化を行った。コード間の類似性と相違性の検討をし,サブカテゴリー,カテゴリーへと抽象化した。

    結 果

    助産実践能力習熟段階レベルIの助産師は,分娩期のハイリスク妊産婦ケア時の感情として【異常な状況への恐怖】【ハイリスクに対応する不安】【他の助産師・医師のサポートによる安心】【助産師としての自覚による勇気】の否定的感情と肯定的感情を抱いていた。ケア中は,【知識の妥当性の確保】をしながら,【知識の発展的活用】を行っていた。その一方,未経験や感情バイアスの作用による【対応困難】な状況も見られた。

    ハイリスク妊産婦ケアの経験を通して獲得した知識は,【ハイリスクに関する学習方法】【母体の身体的アセスメントとそれに基づく教育の必要性】【ハイリスクへの対応】【医療チームによる連携】であった。

    結 論

    助産実践能力習熟段階レベルIの助産師は,否定的・肯定的感情のバランスを取り,先輩助産師,医師により知識の妥当性を確保し,知識を発展的に活用してハイリスク妊産婦のケアを実践することで,母体の身体的アセスメントやハイリスクへの対応,医療チームによる連携についての知識を積み重ねていた。

    また,事例を振り返ることでハイリスクに関する学習方法を学んでいた。

  • 山本 真実, 片岡 弥恵子
    2019 年 33 巻 1 号 p. 38-49
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    目 的

    本研究の目的は,分娩期における臨床判断の場面において,実地指導者は新人助産師に対してどのように気づきを促し,解釈の統合を促進するのかについて,実地指導者の視点から明らかにすることである。

    対象と方法

    本研究は参加観察法,半構成的面接法を用いた質的記述的研究である。関東圏内の病院の指導者,新人助産師8組を対象とした。データ収集方法は,指導者が新人助産師に教育を行った場面に絞り,参加観察を行った後,それぞれ個別に半構成的面接法を用いてインタビューを行った。分析は,参加観察から得られた教育の場面状況と参加観察後のインタビューを統合して内容分析を行った。

    結 果

    分析の結果,4つの気づき,解釈を促進する教育場面を抽出した。抽出された場面テーマは,気づきを促す場面として【好機を逃さず活用する】【五感で感じ取る感覚を教える】【自ら気づくよう促す】,解釈を促進する場面は【発問を用いて推論を引き出す】であった。

    結 論

    刻々と変化する分娩期において,指導者は,好機を逃さず,新人助産師がその場で五感を用いて感じ取れるようにし,自ら気づくように促していた。そして,発問を用いて思考するように導いていた。指導者は,新人助産師の気づきや解釈を促進するために,教えるのに適したタイミングを見極め,その場で五感を用いて感じ取ることや発問を用いて思考を促すようにかかわることが効果的であると示唆された。

資料
  • 笹川 恵美, 春名 めぐみ, 米澤 かおり, 疋田 直子
    2019 年 33 巻 1 号 p. 50-60
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    [早期公開] 公開日: 2019/05/29
    ジャーナル フリー

    目 的

    世界保健機関(World Health Organization:WHO)は,2018年「WHO recommendations: Intrapartum care for a positive childbirth experience」を出版した。このガイドラインは,1996年出版の正常出産ガイドライン「Care in Normal Birth: a practical guide」の改訂版として位置付けられる。本稿の目的は,新旧ガイドラインを比較し,その変化を記述することである。

    方 法

    まず,新旧ガイドラインの基本特性を比較した。次に,新旧ガイドラインの推奨項目の内容を理解できる小見出しを和文で作成した。新旧ガイドラインの小見出しは,対比可能な形で一覧表とし,項目別の推奨レベルを示した。また,「新ガイドラインで新たに加わった項目」「旧ガイドラインにあったが新ガイドラインに含まれなかった項目」「新旧ガイドラインで推奨レベルが変わった項目」を調べ,WHOの正常出産ガイドラインはどのように変わったかを表に取りまとめた。

    結 果

    新旧ガイドラインは,妊産婦を尊重するケアを推奨している点で,共通している。新ガイドラインの主な改訂点は,分娩経過の多様性を尊重し,分娩第1期・第2期の定義や標準持続時間を見直したこと,硬膜外麻酔中の産婦や新生児へのケアに関する推奨を増やしたことである。清潔な器具の使用の推奨など,出産現場に広く浸透したと考えられる項目は,新ガイドラインには含まれていなかった。推奨レベルが上がったのは,分娩第3期のオキシトシン投与や臍帯牽引,硬膜外麻酔に関する項目であった。助産ケアに関しては,ポジティブな出産体験を促進するようなケアを推奨していたが,その具体的なケア内容は,表現の違いはあるものの,新旧ガイドラインで一貫して変わらない項目であった。

  • 田村 知子
    2019 年 33 巻 1 号 p. 61-71
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    [早期公開] 公開日: 2019/05/29
    ジャーナル フリー

    目 的

    産後1年未満の母親を対象に産後家庭訪問のニーズ調査を行い,産後家庭訪問に何を求めているのかを明らかにする。

    方 法

    関東圏内の産後1年未満の母親594名に無記名自記式質問紙を用いて①属性,②分娩状況,③出生時の児の状況,④退院後に受けたサポート,⑤産後家庭訪問に対するニーズ(時期・回数・時間・訪問者・ケア内容),⑥自由記載欄を質問した。

    結 果

    有効回答271名(45.6%)。分娩時平均年齢は32.8(±5.0)歳,初産婦176名(64.9%),経産婦95名(35.1%)。妊娠週数の平均は39.0(±1.6)週,経腟分娩86.0%,帝王切開14.0%。訪問希望時期は産後1~2か月が174名(64.4%),退院直後~産後1か月は114名(42.2%)。180名(67.7%)が産後1か月間に複数回の家庭訪問を希望した。希望する職種は助産師237名(87.8%)と最多であり,174名(72.2%)が病院・診療所の所属を望んでいた。希望するケアは児の体重測定228名(84.1%),授乳に関すること198名(73.1%),骨盤ケア163名(60.1%)等が上位にあがった。「骨盤管理」「尿失禁ケア」「自分の話をよく聞いてもらうこと」「励ましてもらうこと」では,経腟分娩した者の方が帝王切開を受けた者より希望すると回答した者の割合が高かった(p<.05)。

    結 論

    産後は精神的ストレスがある一方,母親達が希望するケアは授乳全般や児の体重測定等直接身体にアプローチするケアであった。今後,母親のニーズに沿った切れ目のない産後ケアを行うためには分娩様式など対象の背景を考慮しながら,分娩した病院・診療所の助産師を活用し,産後2か月以内に訪問を行うことが望ましく,さらには複数回訪問が行われることが可能となることが望まれる。

  • 山本 真実, 新福 洋子, 岡 美雪, 福冨 理佳, 高橋 菜央, 堀内 成子
    2019 年 33 巻 1 号 p. 72-81
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    [早期公開] 公開日: 2019/05/29
    ジャーナル フリー

    目 的

    開発途上国の医療従事者に向けて早期必須新生児ケア(EENC)のコーチングをするファシリテーターを養成するセミナーにおける1)手洗い技術の変化,2)EENCの知識テストのスコアの変化,3)分娩介助,新生児ケアにおける実技評価を記述することである。

    対象と方法

    2016年10月に4日間のEENCのコーチングセミナーを実施した。世界保健機関・西太平洋地域事務局(WHO WPRO)より2名の講師を招聘し,将来リーダーとなり,自施設でEENCの実践や普及を行っていく開発途上国の医療従事者と,近い将来開発途上国で活動する日本の医療従事者を対象として行った。主なプログラム内容は,手洗い技術,EENCに関する知識のプレ・ポストテスト,分娩介助と新生児ケア・蘇生について実技評価であった。

    結 果

    参加者は18名(開発途上国の医療従事者5名,日本の医療従事者13名)であり,そのうちプレ・ポストテストともに参加した者は15名であった。セミナー前後で,手洗い後の汚れの残存が減少し,手洗いの結果に改善が見られた。知識テストについては,参加者全体のスコアはプレテストの6割程度からポストテストでは9割以上に達していた。実技については,3グループ(1グループ6人)に分かれ,グループ毎にロールプレイを用いて繰り返し練習を行った。セミナー後の実技評価のスコアは9割以上に達していた。

    結 論

    セミナー後には,手洗いの仕方に改善が見られ,参加全体の知識テスト,実技評価のスコアは9割以上に達していた。開発途上国,それぞれの国で継続して実施できるEENC教育の普及が必要であり,十分な数のファシリテーターの育成が今後の課題である。

  • 寺岡 歩, 齋藤 いずみ, 田中 紗綾, 佐藤 純子
    2019 年 33 巻 1 号 p. 82-91
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    [早期公開] 公開日: 2019/05/29
    ジャーナル フリー

    目 的

    分娩取扱い病院で約8割を占めている産科混合病棟の,助産師と看護師による分娩期の看護時間と看護行為を明らかにし,助産師と看護師が協働する分娩期看護の安全性の向上に資する示唆を得ることを目的とする。

    対象と方法

    正期産経腟分娩の事例を対象とした。産婦の入院から分娩後2時間値の測定終了までを分娩期とし,調査員がタイムスタディ法を用いて産婦と新生児に関わった全ての看護者の看護時間と看護行為を測定した。

    結 果

    調査期間の14日間に10例(初産婦4名,経産婦6名)の分娩があった。

    分娩期の経過時間中央値は467.0分で,1組の母児に対して分娩期に関与した人数の中央値は助産師が6名,看護師は2名,提供した看護時間中央値は助産師が436.5分,看護師が41.0分であった。

    観察された看護行為26項目のうち看護時間の上位3項目は,助産師では「助産診断(産婦の観察)」「看護記録」「直接分娩介助」,看護師では「新生児介助」「間接分娩介助」「(診療,処置の)準備・後片付け」であった。

    助産師と看護師の看護時間および看護行為は,事例の個別性および分娩進行状態に対応して変動がみられた。

    入院から子宮口全開大に至るまでの時間に看護者間の連絡回数が集中しており,情報交換や業務調整が行われていた。

    結 論

    分娩期に観察された看護行為から,助産師と看護師はそれぞれの専門性に応じた役割分担をしていることが実証された。

    産科混合病棟では分娩第2期までの経過時間に看護者間の連絡を密にして,他科患者への業務調整ならびに分娩準備を行うことが重要である。それにより,分娩第2期・第3期に母児に対し集中して看護することが可能になり,分娩期の安全確保につながることが示唆された。

  • 小島 德子
    2019 年 33 巻 1 号 p. 92-102
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    目 的

    産褥早期に直接授乳をしている褥婦への足湯を継続して行い,乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に及ぼす影響を定性的に評価し検討する。

    対象と方法

    対象は,産褥早期に直接授乳をする褥婦25名で,無作為割り付けによる足湯群14名とコントロール群11名の2群間比較を行った。評価指標は,ピンチテストによる乳頭形態の判別と触診による乳頭・乳輪の状態とした。本研究は,愛知医科大学看護学部倫理委員会の承認を得て実施した。

    結 果

    仮性陥没乳頭が正常乳頭に変化した日(中央値(範囲))は,足湯群2.0(2~3)日(n=5),コントロール群4.5(4~5)日(n=4)であり(p<.05),扁平乳頭が正常乳頭に変化した日は,足湯群2.0(2~3)日(n=6),コントロール群4.0(3~4)日(n=5)であった(p<.05)。乳頭「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群2.0(2~3)日(n=8),コントロール群4.5(3~5)日(n=6)であり(p<.01),乳輪「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群3.0(2~4)日(n=3),コントロール群4.0(4~4)日(n=1)であった。乳輪浮腫の状態が消失した日は,足湯群3.0(3~3)日(n=2),コントロール群4.5(4~5)日(n=2)であった。

    乳頭形態・乳輪の状態が「問題なし」(n=5),乳頭「軟」(n=11),乳輪「軟」(n=21)の各該当者は,両群ともに産褥5日間その乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態に変化はなかった。

    結 論

    産褥早期の褥婦への足湯により,仮性陥没乳頭・扁平乳頭は正常乳頭に,乳頭・乳輪は柔らかい状態へとコントロール群よりも早期に変化し,乳輪浮腫は早期に消失した。このことから,産褥早期の足湯は,褥婦の乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に良い影響を及ぼすことが示唆された。

  • 橋本 佳奈子, 小林 康江
    2019 年 33 巻 1 号 p. 103-114
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    目 的

    緊急帝王切開で出産した初産婦の産後4か月までの出産に対する思いを明らかにする。

    方 法

    研究デザインはライフストーリー法を参考にした質的記述的研究である。母児ともに妊娠産褥経過が良好な緊急帝王切開で出産した初産婦3名に対し,診療録からデータ収集をした上で,半構成的面接を産後2週・4から6週・4か月の3回に縦断的に実施した。面接は出産体験について,体験したことや思考したことを自由に語ってもらった。

    結 果

    本研究では,3名の初産婦の緊急帝王切開に対する思いと,出産体験を意味づけるストーリーが語られた。母乳育児の成功体験により出産への後悔を払拭するA氏のストーリー,育児への自信と子供との絆を高めることで,経膣分娩への気持ちを整理し出産を肯定的に捉えていくB氏のストーリー,体験を語ることや自分がこの子の母親であると思える過程を経て,出産体験を意味づけしようとしているC氏のストーリーであった。緊急帝王切開に対する思いは,出産後育児を行う中で変化していた。

    結 論

    緊急帝王切開で出産した女性は,出産への自信や母親としての自信を喪失し,出産を不本意に思う気持ちと児が無事であったことに安心する気持ちの間で揺らいでいた。育児を行い子供や家族との関係を築く中から,産後4か月には緊急帝王切開であっても自分の出産に他ならない体験であると出産への思いは変化し,さらに第3者に思いを語ることで出産体験の受容は促進されていた。

feedback
Top