日本助産学会誌
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原著
実地指導者が新人助産師の分娩期における気づきと解釈を促進する教育
山本 真実片岡 弥恵子
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2019 年 33 巻 1 号 p. 38-49

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抄録

目 的

本研究の目的は,分娩期における臨床判断の場面において,実地指導者は新人助産師に対してどのように気づきを促し,解釈の統合を促進するのかについて,実地指導者の視点から明らかにすることである。

対象と方法

本研究は参加観察法,半構成的面接法を用いた質的記述的研究である。関東圏内の病院の指導者,新人助産師8組を対象とした。データ収集方法は,指導者が新人助産師に教育を行った場面に絞り,参加観察を行った後,それぞれ個別に半構成的面接法を用いてインタビューを行った。分析は,参加観察から得られた教育の場面状況と参加観察後のインタビューを統合して内容分析を行った。

結 果

分析の結果,4つの気づき,解釈を促進する教育場面を抽出した。抽出された場面テーマは,気づきを促す場面として【好機を逃さず活用する】【五感で感じ取る感覚を教える】【自ら気づくよう促す】,解釈を促進する場面は【発問を用いて推論を引き出す】であった。

結 論

刻々と変化する分娩期において,指導者は,好機を逃さず,新人助産師がその場で五感を用いて感じ取れるようにし,自ら気づくように促していた。そして,発問を用いて思考するように導いていた。指導者は,新人助産師の気づきや解釈を促進するために,教えるのに適したタイミングを見極め,その場で五感を用いて感じ取ることや発問を用いて思考を促すようにかかわることが効果的であると示唆された。

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© 2019 日本助産学会
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