日本助産学会誌
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育児期にある夫婦ペアレンティング―互いの育児の批判をめぐって―
清水 嘉子
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2020 年 34 巻 1 号 p. 103-113

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抄録

目 的

夫婦の危機である産後クライシスを乗り越え,家族の再構築期にある夫婦のぺアレンティングを有効に機能させることは,子育て支援を行う上で重要な視点と考える。そこで支援への第一歩として,夫婦の子育ての話し合いの状況,夫婦が相手から子育てを批判された時の気持ちや,批判の背景にある事柄の受け止めを明らかにすることを目的とした。

方 法

倫理的な配慮に基づき,子育て期にある夫婦1062人に調査用紙を配布し,回収された515人の内,自由記述調査に協力している325人(妻185人,夫140人)を対象とした。記述は質的記述的分析により内容分析を行い,サブカテゴリーとカテゴリーを命名した。

結 果

子育ての話し合いは8割が行われ,出産後が最も多かった。批判に対する妻の受け止めでは<夫からの批判をマイナスに受け止めている><夫からの批判をプラスに受け止めている>のカテゴリーがあった。妻が考える夫の批判の背景では,<互いの性格傾向による><夫との生育歴や親役割観の違い><夫婦関係の歪み>のカテゴリーがあった。一方,批判に対する夫の受け止めでは<妻からの批判をマイナスに受け止めている><妻からの批判をプラスに受け止めている><妻からの批判を受けても関係ない>のカテゴリーがあった。夫が考える妻の批判の背景には,<互いの性格傾向による><妻との生育歴や育児観の違い><家庭内の役割や関係性>のカテゴリーがあった。

結 論

夫婦の育児への批判をめぐって,その違いや特徴が明らかになった。良好な夫婦のペアレンティングの介入に向けて,妻と夫の受け止めや背景にあるものの違いを念頭において,夫婦の認識や受け止めのずれが大きくなる前に,お互いの思いを伝達すること,親役割観の見直し,育児観の尊重,不満な思いを伝え話し合うことが示唆された。

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